内定者が入社日を遅らせてほしいと希望した場合、内定取り消しは可能か?

内定者から入社日を遅らせてほしいと連絡がありました。
業務の都合上、入社日を遅らせることは難しいです。
この場合、内定取り消しは可能でしょうか?

内定者が「本人の勝手な都合」で入社日の延期を希望した場合であっても、すでに労働契約が成立していると認められる場合には、企業側が一方的に内定を取り消すことは原則としてできません。
特に、内定通知の交付時点で労働契約が成立していると判断されるケースでは、内定取消しには「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当であること」が必要とされます。
内定取消しが無効とされる典型的なケースとしては、以下のようなものが挙げられます。
- 内定者の健康状態や能力に重大な問題がない
- 入社延期の理由が一時的な家庭の事情や学業の都合などで、企業の業務運営に重大な支障を及ぼさない
- 企業側が内定者の事情を十分に確認せずに一方的に取消しを行った
したがって、たとえ内定者の都合による入社日の延期希望であっても、それだけを理由に内定を取り消すことはできません。企業としては、まず内定者の事情を丁寧に確認し、入社日の調整が可能かどうかを検討することが望ましい対応です。