営業所閉鎖時の解雇可否


地方の営業所を閉める予定です。
従業員がひとりいます。
会社からは他の営業所への転勤を提案するしかありません。
事業閉鎖にともなう解雇は問題ないでしょうか?


地方の営業所の閉鎖に伴う解雇は、整理解雇に該当します。
整理解雇が有効と認められるためには、裁判例で示されている4つの要素を総合的に満たす必要があります。
 

整理解雇の4要素

①人員削減の必要性

営業所閉鎖という経営判断に基づく人員削減の必要性が認められるかを検討します。
不況や経営不振など、企業経営上の十分な必要性があることが求められます。

②解雇回避努力義務の履行

他の営業所への転勤提案は解雇回避努力として評価されますが、それだけで十分かは慎重な判断が必要です。
 

③解雇対象者の選定基準の合理性

今回は営業所閉鎖に伴い、その営業所に勤務する従業員1名が対象となるため、選定基準は客観的・合理的と考えられます。
 

④解雇手続の妥当性

従業員に対して、解雇の必要性・時期・方法について十分な説明を行い、納得を得るための協議をすることが必要です。

4つの要素すべてが完全に満たされなければ即座に無効となるわけではありません。
しかし、実務上はいずれの要素も認められている状況で整理解雇が有効とされています。

また、解雇を行う場合は、30日以上前の解雇予告、または30日分以上の平均賃金(解雇予告手当)の支払いが必要です。