昇給原資の決め方の考慮点は?


今年の全体の昇給額について悩んでします。
世間の相場を考慮しなければならないと思いますが、どのように考えて昇給の原資額を決めれば良いのでしょうか?


今年の昇給額を考える際には、「相場」だけで決めないことが重要です。
整理すると、次の3つの視点で組み立てていくのが基本になります。
 

1. まず「会社として昇給に使える原資」を決める

(1) 昇給は「義務」ではなく「裁量」であること

昇給は法律上の義務ではなく、会社の裁量で実施するものです。
就業規則に「毎年○月に昇給する」と書いていなければ、必ずしも毎年・一律で上げる必要はありません。
一方で、「昇給時期をどう定めているか」によっては、従業員側から「昇給するはずだ」と期待される場合もありますので、自社の就業規則・賃金規程の文言は一度確認することをお勧めします。
 

(2) 昇給原資の考え方(全体の“財布”の大きさ)

世間相場を見る前に、以下のような観点から「今年、総額でどのくらい昇給に回せるか」を決めます。
  • 売上・利益の見通し(前年実績と今年の予算)
  • 人件費率(人件費/売上)の許容範囲
  • 退職リスク(人材流出を防ぐ必要性)
  • 既存の賃金水準(同業他社と比べて明らかに低い/高い など)
この「昇給原資(例:年間で人件費総額の○%)」を決めた上で、次の「相場」と「配分」の話に進みます。
 

2. 「世間相場」は“目安”としてどう見るか

(1) どの相場を見るか

一般的には、次のような情報を参考にします。
  • 同業他社の賃上げニュース(業界団体の調査、経団連・商工会議所の調査など)
  • 厚労省の賃金構造基本統計調査など公的統計
  • 地域の最低賃金の引上げ幅
  • 物価上昇率(インフレ率)
ここで確認するのは、
  • 「ベースアップ(ベア)の平均%」
  • 「定期昇給分を含めた賃上げ率の水準」
です。
 

(2) 自社水準とのギャップを見る

自社の賃金水準が業界・地域水準より明らかに低ければ、相場より少し高めの昇給率を検討しないと、人材確保や定着に影響する可能性があります。
逆に、既に高水準であれば、相場より抑えめとすることもあります。

「相場通りにしなければならない」わけではなく、自社の原資の範囲内で、相場と大きく乖離しない水準を意識する、という位置づけで考えるのが実務的です。