退職予定社員の年休の買い上げる

従業員から翌月末で退職したいとの申し出がありました。
後任への引き継ぎもあるため、退職日まで出社してほしいと依頼しました。
すると、「年休が余ってしまうので、引き継ぎを優先するならば、買い上げを検討してほしい」との要望を受けました。
当社には年休の買い上げ制度はありません。
事業への影響を考慮して特例的に認めたいと考えています。
年休の買い上げを特定の社員に限って適用することに問題はあるでしょうか。

今回のように「退職時に取得し切れなかった年次有給休暇」を、個別の事情を踏まえて特定の従業員に限って買い取ること自体は、法令上ただちに問題となるものではありません。
実務上も、退職予定者に限って個別対応で買い取りを行っている会社はあります。
原則は買い上げは禁止
年休は「労働を免除して心身の疲労を回復させる」ことが目的であり、原則として金銭との交換(買い上げ)は認められていません。また、年5日の取得義務について、買い取りで代替することもできません。
退職時の取り扱い
退職が決まっている従業員から、退職日までの労働日に対して残りの年休をすべて取得したいとの申出があれば、会社は原則として拒否できません。出勤日数より年休日数が多く、退職日までに使い切れない分については、「退職時に消化できなかった年休」として買い取りが可能です。
なお、買い取りを行う義務までは課されていません。
買い取り対象者を限定しても直ちに違法とはされていない
退職時の年休買い取りについては、買い取るかどうか、買い取り額をいくらにするかは、会社が自由に決められるとされています。また、「個別に対応するときは、買い取る人と買い取らない人を分けても構いません」とされており、制度として一律に設けていなくても、個々の退職者ごとに対応を変えることは、直ちに違法とは評価されません。
ただし、恣意的な運用だと評価されると、他の従業員からの不公平感や紛争の火種となり得ます。
そこで、退職日までの出勤日数より残年休日数が多く、「業務上、すべての出勤日に年休を使われると事業に支障が出る」場合に限り、「出勤を依頼した日数分」に相当する未消化日数を買い取るなど、最低限の基準(考え方)は社内で共有しておく方が無難です。



