試用期間中の社員を本採用拒否


4月1日から採用した社員で、現在、試用期間中です。
能力がないので、本採用を拒否したいのですが、何か問題がありますか?


試用期間中であっても労働契約は成立しています。
試用期間中の解約(途中で辞めてもらう)も、試用期間満了時の本採用拒否(更新しない扱いにする)も、実務上は「解雇」として判断されます。
したがって、客観的に合理的な理由があるか、社会通念上相当か、という2つを満たさないと無効とされる可能性があります。
試用期間だからといって「能力がないように感じるので、簡単に切れる」というものではありません。
 

 能力不足を理由とする本採用拒否は認められにくい

裁判例の傾向として、能力不足だけを理由にした解雇は一般にかなり認められにくいとされています。
単なる「期待外れ」「思っていたより仕事が遅い」といったレベルでは足りません。
次のような事情が揃っていることが求められる傾向があります。
  • 業務遂行能力が著しく低く、実務に明確な支障が出ている
  • 業務内容に応じた教育・指導を行っている
  • 注意・助言後も改善が見られない
  • 配置転換や業務内容の調整など、解雇回避の工夫をしてもなお困難
特に新卒や若年者の場合は、「会社側の育成義務」も重く見られ、いきなり本採用拒否が有効と判断されるハードルは高いと考えられます。

法的リスクを踏まえると、次のような点を一度社内で確認されることが重要です。
  • 試用期間の長さ・終了予定日
  • 就業規則や雇用契約書における試用期間の定め、採用拒否の要件、解雇事由
そして、当該社員の
  • 具体的な能力不足の内容(業務ごとの事実)
  • これまでの指導・注意の履歴(回数・内容・改善状況)
  • 業務にどの程度の支障が出ているか