試用期間中なので解雇したい
試用期間中なので解雇したい
2018/10/4
ジャンル 労務
事件の概要、ご相談内容
製造作業員を採用。求人内容に記載していた必要な能力が全くありません。しかし、3か月の試用期間があったので様子をみていました。1か月間、様子を見ましたがやはり仕事ができません。改善されそうになかったので、解雇をした。しかし、退職後、本人より試用期間中の解雇は不当と訴えられた。
経営者の主張
面接でも業務内容は説明したのに騙されたと思います。能力不足を通知して解雇手順に従い、解雇日の前1か月に通知したので問題ないと考えています。
従業員の主張
「能力がない」ということだけで具体的な事実やその説明はなかった。また、指導もされていない。
解決へのプロセス
求人に記載していた必要な能力とは何か?を具体的にしました。そして、「具体的にどの程度能力不足なのか」を確認しました。また、適切に指導していたかどうかも確認しましたが、上司が口頭で注意する程度でした。
解決のポイント
上司の指導が適切ではなかったこともあり、残りの試用期間2か月の勤務成績を判断して本採用することで合意しました。2か月間、積極的に指導するようにしてもらい、また、その間の勤務状況は記録することにしました。それでも改善が必要な状況が生じた場合は話し合うことで合意しました。
依頼者の声
具体的に能力がないことを説明できる証拠が必要であることを教えてもらったことはとても参考になりました。また、口だけの指導ではなく、指導した記録もつけるようにします。
振り返り
トラブルにならないためには、民法で決められている14日以内に能力の見極めをするか、2か月程度の試用期間経過の際に具体的な理由と1か月前の予告を文書で明らかにし、試用期間満了をもって解雇する措置が必要だったと思います。1か月前に通知するなどの解雇の手順も重要ですが、やむをえず解雇する場合は、具体的な理由が一番重要になります。しかし、それよりも採用のミスマッチがないように業務内容の棚卸を行って、どのような人材が必要であるかを明確にしておくことが良いと思います。
事業者規模情報
製造業 従業員10名