令和3年度の監督指導の結果を公表

厚生労働省は、令和3年度に長時間労働が疑われる事業場に対して労働基準監督署が実施した監督指導の結果を取りまとめ、監督指導事例とともに公表しましました。
令和3年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例を確認しておきましょう。
 

令和3年度の監督指導実施状況のポイントと主な監督指導事例

令和3年度の監督指導実施状況のポイント

令和3年4月から令和4年3月までに、32,025事業場に対し監督指導を実施し、23,686事業場(74.0%)で労働基準関係法令違反が認められた。
<主な法違反>
・違法な時間外労働があったもの→10,986事業場(34.3%)
・賃金不払残業があったもの→2,652事業場(8.3%)
・過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの→6,020事業場(18.8%)
 

主な監督指導事例/運送業に対して行われた監督指導の事例

1.各種情報から時間外・休日労働時間数が1か月当たり80時間を超えていると考えられる事業場に対し、立入調査を実施。
2.労働者12名について、1か月80時間を超える時間外・休日労働(最長:月約183時間)が認められた。36協定を確認したところ、締結当事者である労働者代表を会社が指名しており、民主的な手続により選出されていなかったことから、指導を実施。
3.年次有給休暇が10日以上付与される労働者に対し、1年以内に5日間以上の年次有給休暇を時季を指定して取得させていなかったことから、指導を実施。

上記で紹介した監督指導事例は極端な例かもしれませんが、月80時間を超える時間外・休日労働が常態化している場合、過労死等のリスクが高くなり、また、労働基準法に規定されている時間外労働の上限規制に抵触するおそれもあります。

36協定が適切に締結されていないケースも多く、そのような場合には、法定労働時間を超える労働等に対する免罰の効力すら生じません。

また、年次有給休暇の時季指定義務についても、履行を怠っていると指導の対象となります。
企業が遵守すべき労働基準関係法令のルールは多々あります。
違反がないか、定期的にチェックしておく必要があるでしょう。