在職中の競業避止を義務づけることは可能か?


当社は不動産業です。
多くの個人情報を扱いますので、情報漏洩の視点からも他社での就業を禁止したいと考えています。
在職中の競業避止を義務づけることは可能でしょうか。


在職中の競業避止義務を設けることは可能です。
ただし、退職後の競業避止よりも比較的制限が緩やかに認められる傾向があります。
 

在職中に競業避止を義務づけられる根拠

在職中の労働者は雇用契約上の誠実義務・忠実義務を負っています。
使用者に対して以下のような義務があります。
  • 業務上の秘密を守る義務
  • 使用者の利益に反する行為を行わない義務
  • 職務に専念する義務
したがって、以下の場合には在職中の競業行為を禁止・制限することが可能と考えます。
  • 労務提供上の支障・・・副業により本業の労働時間や集中力に悪影響が生じる場合
  • 業務上の秘密漏洩・・・同業他社での就労により企業秘密が流出するリスクがある場合
  • 競業による利益侵害・・直接的に自社の顧客を奪う行為や同業での活動
  • 信用・名誉の毀損・・・会社の評判を損なう可能性のある競業活動

就業規則への規定方法

競業避止を効果的に運用するためには、就業規則に以下の内容を明記することが重要です。
原則:労働者の時間外活動は自由であること
例外:上記4つのケースに該当する場合は制限可能であること
手続:副業・競業を行う際の許可申請手続き
違反時の対応:懲戒処分の可能性
 

注意すべきポイント

形式的に就業規則に抵触していても、実際に職場秩序への影響や労務提供への支障がない程度の競業活動であれば、懲戒処分は認められない場合があります。
慎重な判断が必要です。