安全配慮義務違反って?

 

最近、労働基準監督署の調査がありました。
会社役員、上司らからパワハラをうけたという申立てがあったそうです。

監督官からは色々と質問されました。
そして、「安全配慮義務違反」という是正勧告書という書面を渡されました。
この「安全配慮義務違反」とはどのような違反なのですか?

 

安全配慮義務とは

安全配慮義務とは、「従業員の生命・健康等を危険から保護するよう配慮すべき使用者の義務」のことをいいます。
そして、従業員を雇用する以上、会社が当然に負うものとなります。

安全配慮義務は、「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」と労働契約法第5条でも明文化されています。
この規定に違反しても罰則はありません。

しかし、問題となるケースの多くのは従業員の心身のトラブルをめぐって争いです。
訴訟等に発展した場合、ほぼ確実に会社の安全配慮義務が問われています。
その内容は主に、従業員に対する損害賠償となります。
 

安全配慮義務の対象となるもの

作業場や設備、器具の使用等の直接的なことはもちろんです。
そして、上記の例のとおり、従業員が労務を提供している過程そのものも安全配慮義務の対象となります。

要するに、「従業員を安全な状態で働かせているか」ということです。

そして、すべての会社に対して同じ内容が問われるわけではありません。
会社の規模、業種や作業環境等によって配慮すべき内容は異なります。
さらにいえば、同じ会社であっても職種や勤続年数、本人の健康状態等で配慮すべき点は違います。

ケースバイケースでも対応が必要になるため、とても難しい問題です。