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        2018/10/17
      | ジャンル | 労務 | 
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事件の概要、ご相談内容
  社員から「パワハラされたので、もう退職したい」と言われました。退職するので解雇扱いにしてほしいそうです。理由は「解雇扱いだと離職票(失業保険)が早く、そして多くもらえるから」だと、本人が言っています。
また、退職するにあたり、残業代も請求してきました。当社はタイムカードはなく、本人からの自己申告制による勤怠報告書だけでした。そのためか、本人からの勤怠報告書に書かれた残業時間は、あきらかにおかしな時間です。
  また、退職するにあたり、残業代も請求してきました。当社はタイムカードはなく、本人からの自己申告制による勤怠報告書だけでした。そのためか、本人からの勤怠報告書に書かれた残業時間は、あきらかにおかしな時間です。
経営者の主張
  経営陣である取締役が本人の上司に確認しましたが、パワハラの事実はありませんでした。会社としては解雇にする理由はありません。しかし、労働基準法で決まったルールどおりの残業代は、払うべきものは払うつもりです。
  従業員の主張
  「解雇にしてくれれば、パワハラや残業代は言うつもりはありません。とにかく、解雇にしてください。」と主張。
  解決へのプロセス
  会社として不適当な退職処理をすることは適切ではないと理解してもらい、解雇扱いとはせずに勧奨退職にしました。勧奨退職であれば、自己都合退職よりは有利に離職票をもらうことも可能で、社員の経歴にも「解雇」というマイナスイメージはありません。会社も解雇扱いで処理したことにはなりません。また、未払い分の残業も計算して支払うようにしました。
  解決のポイント
  双方で話し合いの結果、同意しました。社員には解雇ではないので退職願を提出してもらいました。
  依頼者の声
  会社として適切に処理することができて良かったです。また、タイムカードを記録することで会社が不利になると考えていました。出勤から退勤までのすべてを勤務時間とすれば、残業代が多くなると思ったからです。しかし、タイムカードがなければ、社員の記録が優先されるということを先生にお聞きして、驚きました。今後は、タイムカードを導入して日々、勤怠を管理したいと思います。
  振り返り
  会社が解雇する際にはさまざまなリスクがあります。たとえば、解雇通知や解雇予告手当、そして不当解雇などです。安易に解雇にすると、あとからリスクが発生することもありますので、十分な配慮が必要です。また、「タイムカードをつけないほうがよい」というのは大きな誤解です。勤怠管理義務は会社にあります。タイムカードをつけると、無駄な残業代を支払う必要があると考えられている経営者の方は多いようですが、タイムカードがなければ労働者の主張する時間分の残業代を支払うことになります。タイムカードが問題ではなく、勤務時間の運用が問題です。
  事業者規模情報
  建築設計事務所 従業員26名
  


