令和4年分の年末調整について

令和4年も残り数か月となり社員の所得税に関する年末調整の時期も近づいてきました。
国税庁は、9月の末頃に「年末調整がよくわかるページ(令和4年分)」を開設しています。
今年の年末調整においては昨年からの大きな変更はなく、昨年(令和3年分)の年末調整は昨年と同じ手順となります。
その手順等については、「年末調整がよくわかるページ」でも確認することができます。
(国税庁)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nencho/index.htm

今回は令和4年のポイントと令和5年の税制改正で押さえておくべき内容をまとめました。
 

令和4年分年末調整のポイント(昨年からの変更点)

  1. 控除証明書の電子データ提出の適用範囲が拡大

令和4年4月の税法改正で、新たに「社会保険料控除」「小規模企業共済等掛金控除」の控除証明についても電子データでの提出が可能になりました。
【電子データ提出が可能な証明書】
・生命保険、地震保険などの控除証明書
・住宅ローン控除証明書
・社会保険料控除証明書
・小規模企業共済等掛金控除証明(払込証明書)
電子データでの受付ができない企業は、従来どおりの紙の控除証明書での提出や、必要に応じて国税局提供の「QRコード付証明書等作成システム」を利用して、電子データをQRコード付証明書等として書面で出力して提出できます。 
 
  1. 源泉徴収票の未成年者欄の「〇」は、18歳以下へ

 民法改正により、令和4年4月1日から成年年齢が20歳から18歳に引き下げられました。
令和4年分給与所得の源泉徴収票の「未成年者」欄は、従業員が平成17年1月3日以降に生まれた方の場合に「〇」を付けてください。  
 
  1. 令和3年度税制改正による住宅ローン控除の期間延長の適用対象者の確認

消費税率の引き上げや新型コロナウイルス感染対策により、住宅に対する税制上の支援措置として創設された「控除期間13年の特例措置」について、さらに期間延長されることになりました。
期間延長の適用となる住宅ローン控除を受ける従業員については、今年の年末調整にて、期間延長の対象となる可能性がありますのでご確認ください。
 

令和5年分年末調整で変更が予定されている内容

令和5年分年末調整で予定されている変更内容で、令和5年1月1日以降適用になる内容もあります。
令和4年分年末調整を行う際に、あわせて確認されることをおすすめいたします。
  1. 住宅借入金等控除の適用期限延長等

住宅借入金等控除の適用期限が令和3年12月31日より4年延長され、令和7年12月31日までとされました。
この改正に伴い、令和4年から令和7年までの期間に入居した場合の各種要件が変更となりました。

① 住宅借入金などの年末残高の限度額、控除率および控除期間が住宅の種類などに応じて変更
令和4年から令和7年までの間に入居した場合の住宅借入金などの年末残高の限度額、控除率および控除期間が住宅の種類などに応じて変更されました。

② 適用対象者の所得要件が2,000万円以下に引き下げ
住宅借入金等控除適用の所得要件は、その年の合計所得金額が3,000万円以下でしたが、今回の改正により2,000万円以下へ引き下げられました。  

③ 新築住宅床面積が40㎡以上50㎡未満である場合の要件変更
令和3年1月1日から令和4年12月31日の期間で適用とされていましたが、令和5年12月31日以前に建築確認を受けた住宅の取得においても適用とされました。
控除できる期間のうち、合計所得金額が1,000万円を超える年については適用されません。

④ 借入金残高証明書の添付が不要に
令和5年1月1日以降に取得した住宅については、年末調整の際に借入金残高証明書を添付することが不要とされました。
令和6年1月1日以降に提出する「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」について適用となりますので、令和5年分の年末調整については従来通りの提出となります。
 
  1. 非居住者である扶養親族にかかる扶養控除に関する適用の変更

令和2年度の税制改正により、令和5年1月1日以降、扶養控除の対象となる扶養親族の範囲から、30歳以上70歳未満の国外に居住する非居住者について除外されます。
ただし、一定の要件に該当する場合は今まで通り扶養控除の対象になります。  
【一定の要件とは】
① 留学により国内に住所および居所をしなくなった者
② 障害者
③ 扶養控除の適用を受けようとする居住者からその年において生活費または教育費に充てるための支払を38万円以上受けている者

年末調整について国税庁のサポートは充実しているといえます。
しかし、それでも、不明な点が出てくると思います。
そんなときには気軽にお問い合わせください。