70歳までの就業機会の確保

政府は、令和元年(2019年)6月に「成長戦略実行計画」を取りまとめました。

そこには「70歳までの就業機会の確保」を盛り込んでいます。
同年11月に開催された全世代型社会保障検討会議において、安倍総理が「法案の早期提出を図る」と明言したことが話題になりました。
どのようなルールが作られようとしているのか、今一度確認しておきましょう。
 

70歳までの就業機会の確保案のポイント

65歳から70歳までの就業機会確保については、次の①~⑦のような多様な選択肢を示し、どの選択肢を採用するか、労使で話し合い企業が決定する仕組みの導入を目指す。
 
  1. 定年廃止
  2. 70歳までの定年延長
  3. 継続雇用制度導入
  4. 他の企業への再就職の実現
  5. 個人とのフリーランス契約への資金提供
  6. 個人の起業支援
  7. 個人の社会貢献活動参加への資金提供

法制についても、二段階に分けて整備を図る。

●第一段階の法制整備←早期の法案の提出が進められている部分
第一段階の法制については、法制度上、上記の①~⑦といった選択肢を明示した上で、70歳までの就業機会の確保を努力規定とする。

●第二段階の法制整備
第一段階の実態の進捗を踏まえて、第二段階として、現行法のような企業名公表による担保(いわゆる義務化)のための法改正を検討する。
この際は、かつての立法例のように、健康状態が良くない、出勤率が低いなどで労使が合意した場合について、適用除外規定を設けることについて検討する。

7つの選択肢の内容の見直しなど、部分的な修正は加えられるかもしれません。
「70歳までの就業機会の確保を努力規定とする」という方向性は揺るがないと思われます。
厚生労働省の調査によると、66歳以上でも働ける企業の割合が30%を超えました。
残る70%程度の企業では、対応を考える必要が生じるということになります。