賃上げと就業意識

賃上げと就業意識

[カテゴリ] 人事について
[更新日] 2025/12/22
株式会社パーソル総合研究所が、「賃上げと就業意識に関する定量調査」を行い、その結果を発表しています。 正会員規模301人以上の企業勤務者20-64歳の正社員2500名を対象に行った調査だということです。
この調査は、インフレ時代における企業の報酬設計において、従来の横並び水準重視から、将来展望を示すタテ比較重視への転換の必要性を示唆している重要な研究です。
 

主要な調査結果

1. 賃上げの実態

  • 月収・年収が上がった人は約半数、年収3%以上の増加は約4割に留まる
  • 物価上昇(2024年のCPI前年比3.2%)を上回る賃上げを得られていない人が過半数
  • 20~30代の若年層でも約4割は年収が上がっていない
  • 年収増の主要因は「賞与・ボーナスの増額」「ベースアップ」

2. 賃上げの効果と課題

  • ベースアップがあっても、モチベーション向上は約半数に留まる
  • 20代では6割弱がモチベーション向上するが、年代が上がるほど効果は低下
  • 部下・後輩との給与差縮小や将来の給与伸びへの期待低下が育成意欲の低下を招く

3. 給与比較の影響

  • 「未来不安」が継続就業意向やワーク・エンゲージメントに最も強く影響
  • 社内外比較(ヨコ比較)より、将来見通し(タテ比較)が重要
  • 特に「5年以内の給与見込み」が最も重視される
  • 40代以下では、給与が変わらない見込みは下がる見込みとほぼ同等の悪影響

4. 給与停滞時の行動

  • 給与が上がらない場合、「支出見直し」「投資」「転職」を検討する人が多い
  • 年代が若いほど転職を選択肢とする傾向(20代では38.3%が転職検討)

5. 有効な報酬設計

  • 継続就業意向やワーク・エンゲージメント向上には以下が重要
 
「時間とのバランス」
・休みの取りやすさ、時間外労働の削減
・フレックスタイム制や中抜け制度などの勤務時間の柔軟性
 
「納得性とのバランス」
・給与決定・調整方針の透明性
・外部比較水準の透明性
・明確な目標設定と共有

この調査から企業には以下3つの視点での取り組みが求められると考えます。
  • "いま"より"伸びしろ"を示す: 数年間での給与の伸びを業績と結びつけて明示
  • 「納得性とのバランス」を重視: 給与の決定方針や調整方針の明確化と継続的な情報発信
  • 「時間とのバランス」を確保: 働きやすさを報酬の一部として捉え、労働負荷の軽減を推進

出所「パーソル総合研究所」
調査結果の詳細
https://rc.persol-group.co.jp/thinktank/data/wage-increase/
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